より効果的で安全な治療のためには、レーザーの基礎を熟知し、治療用デバイスの特徴や使用法を十分に理解しておく必要があります。また、エビデンスに基づく治療指針を策定し、適応基準や禁忌例を明確にすることも大切です。日本レーザー獣医学研究会では、レーザー医療の安全性を高めるための取り組みを様々なかたちで行なっています。
安全性について
安全管理からみたレーザーの分類
クラス1:適用外レーザー
- 数マイクロワット、例:バーコードスキャナー
クラス2:低出力レーザー
- 数ミリワット、例:レーザーポインター
クラス3:中出力レーザー
- 5-500mW、例:レーザー光
クラス4:高出力レーザー
- 0.5W以上、例:レーザー装置
警告ラベル
レーザー光線による事故の一例
ロシアのテクノ・コンサートであるAkvamarinフェスティバルにて、30人超の観客が目にレーザー光線を浴びて傷を負い、失明する恐れがあるとのこと。既に数人は視力を80%失っており、医者によると、回復することはできないそうです
現在の獣医学におけるレーザー治療の問題点
現レーザーは20世紀最大の発明とも言われています
- 様々なレーザー治療が考案され、より侵襲の少ない治療が可能になったが治療指針や適応が曖昧で成績に差がある(例:レーザー緑内障治療、レーザー椎間板減圧術(PLDD)、レーザーサーミア光化学療法(PDT)、レーザー局所凝固療法、疼痛緩和etc)
- レーザー新治療において臨床が先行する事が多くエビデンスに乏しくなってきている
- 多様化するレーザーの波長やLEDや光線療法の普及でレーザー治療に対する誤解や混乱がある
レーザー治療の今後の普及と発展
- レーザーを基礎から学び安全を確保し患畜、飼い主、スタッフを事故から守る
- レーザー治療の指針策定により適応基準や禁忌例を明確にし安全性と効果を高める
- 研究会として基礎から臨床までのハンズオントレーニングコースを設定し修了証を出すことにより獣医師やスタッフの技術や意識を高める
- トレーニングに参加できない開業獣医師の為に各種レーザー治療の実技DVDを作成する
- 日々、進化するレーザー医学の情報を共有し生涯教育としての認定医制度を目指す
- 臨床のみでなく基礎研究部門への参加を広く呼び掛けエビデンスを追求していく
- 海外組織とも連携し英文の文献の応募を募りレベルアップを図る(優秀と認められる研究には海外の学会への出席を援助する。企業協賛)